美容師と言えば『カット』の技術が昔は花形とも言えました。 最近ではカラーが上手なら流行ると言われたり、ヘアセットが可愛かったら流行るなどという傾向になって幅広く美容師さんが活躍できる場が増えとても良い時代でもありますね。
しかしその一方でカリスマブームなどからカットはその『性能』よりも『パフォーマンス』が前衛的になって行きました。
事実僕がカットを始めたあたりはちょうど『カリスマ』時代真っ只中だったせいもあり習う技術はどれもこれもまずは『見た目』。
つまり切ってる姿やデザインにばかり着目したカリキュラムが謳歌したように思えました。
ブームが来る事は当然注目を受けるのでその職業は流行り、人口密度も急激に伸びますよね。その分競争も激化し切磋琢磨する時間を過ごす美容師が増えました。(いまなら誰かが労基に訴えそうな働き方ですね。笑)
流行る事は業界全体においてとても嬉しい事で、その職の社会的地位も上がりその業界全体が潤います。
しかし上がったものは必ず『下がります』
現在では『カリスマ』なんて言葉は死語とさえなってますね。それだけではなく急激にこの職に就こうとする者も激減し、結果過疎化の様な有様とも言えます。
現在で美容師について様々口コミもありますよね。
・安月給
・重労働
などなど…
しかし美容を20年以上携わっている身からすれば…全然予想出来たし、むしろまだまだブームは完全には消えていません。 今は若い美容師さんがSNSなどで美容師の可能性から”浪漫”をうって
新しい方に夢を見せてくれてますよね。
カリスマブームの時代にのし上がった者は確かに存在するし、現在でも業界上部の方で存在を構えてます。これ自体は良いも悪いも両方ありますね。。
この辺りはどの業界でも必ずある事です。政治家でさえ。。。
このカリスマブームに頭角を残したものはそんな方々だけではなく『美容技術』にもかなり影響を及ぼしました。
ブームが来るなら注目される分『薬品』などはとても良い進化をしています。
これに至っては心から喜べるような製品が年々出ていてこれまでに叶わなかった仕上がりまで手が届くようになった事は紛れもなく事実としてあります。
そして『カット』に至ってはそれぞれが切磋琢磨したおかげで新しいヘアスタイルを生み出しタレントさんなどからも様々なスタイルが流行ったのもこの時代でした。
あれからおよそ20年。今の美容はSNSなどネットを媒体に様々な流行を生み出し、現在の美容技術といえば主に『カラー』がその流行の中心となりました。
前述でもお話ししましたが流行は"進歩"を生む結果となり薬品が格段に進化しますから。
とても有り難いですね。
しかし、美容技術で1番大切なのはやはり『カット』だとアブウーノでは考えます。
ただ純粋に一番好きな技術なのかもしれませんが(笑)
カットは各技術のなかでも"答えが"ないものかもしれません。
どんなに有名な方が切っても100%の人に愛されるものでもないし、コンテストに優勝したからと言って100%の人に気に入られるものでもありません。
カットはいわゆるパズルの様な物で、それこそ様々な切り方が存在します。
しかし実はごく単純な3つの法則から形を成しているともいえます。この辺についてはとてもマニアックな事なので読者の方はおそらく一般の方が多いでしょうから理解してもらえない項目なので割愛しますが、カットは構成が単純であるがために凄く奥が深いものとなっております。
ひとえに『カット』と言っても形状を成すという事だけが目的ではないのです。
カットには形状をなす前にとても重要なテクニックが隠れているんです。
例えば毛先を切るときにチョップカットと言われるハサミを縦に入れる手法を見た事ありませんか?
あれは毛先の動きや量の調整のように美容師さんも良く言われますがそんなことだけではありません。
アウトラインを切る際に特に意味を持つんですが『実は毛先のコントロール。』の意味を含んでいるのです。
毛先のコントロールと言うのは毛先がどちらに流れるのか?又は流したいのかを決める重要な技術なんです。
この辺りについて美容師さんとお話ししても伝わらない方が多くなっているの悲しかったです。
毛先の量感コントロールや動きなんかより重要で他に変わることのない技術でもあります。
ここまで知った上でのチョップカットはまるで意味が変わりますね。
他にもストロークやスライシングやエフェクトなどなど…今では耳にするのが少なくなってきた技術ではありますが当然あります。
カリスマ時代はその殆ど口で説明されるものより実際は『パフォーマンス』要素が強かったのを憶えてます。
「いや!私のは本物だ!」「それは君が本物を知らないだけだ!」など言われそうですが、事実今でも感想は変わりません。
もちろん意味のない手法ではありませんが…そこまで大きく見せる必要性はない技術ですね。
効果などについてはここでは必要ないので割愛です(笑)お聞きになりたい方は是非店頭で!
ここまでお話しして『カット』というのはやはり花形の技術なんだなぁと感じました。
カットは技術者によって180°変わるといっても過言でもないし、全く違う結果を生みます。
ではなぜそこまで変わるのかというと、何をどこまで知っているか? 誰に習うか?何を学ぶか?によってその印象は変わるからです。
これはあくまでも僕個人の見解ですが、カリスマブームと言うのはこの業界にとって大きな財産を生みましたが同時に負の遺産とも言えるべき風潮も残しました。
現にアブウーノにはご高齢の方も沢山ご来店いただいておりますが。
その方々が言われる事は
『切っていただいていた先生が亡くなられて行くところが無くなって困ってました』
色々紹介されて方々へ行かれた方もいます
もちろん紹介される場所いわゆる『一流』。
つまりは有名店でした。
決して上手くないと言うわけではありません。当然トレンドを発信していて業界の中心にある技術をお持ちでしょう。
しかし未来に目を向け過ぎる傾向からは抜けれない様に思います。
カット技術の良さや深さは過去にあります。
ブーム以前にあの『聖子ちゃんカット』と言われる技術の正確さや当時のヘアセットに至るまでのカットライン。
今では古臭く"重過ぎる"と言われそうなスタイルカット。
しかしあの時代にこそ"匠"はあったと感じてます。
ブームの時代何を間違えたのか"軽さ"を発信するあまり求められるスタイルは後日には形状を維持できないスタイル。
僕は"彫刻カット"と呼んでました。
今でもよく見かけますが…業界全体ではかなり修正が入って殆ど見かけなくはなりました。
ですが根本的にはまだまだ残ってます。
今現在カリスマブーム時代にアシスタントととして習って来られた方々がちょうどオーナーやら先生と言われる年代になりパフォーマー的技術の継承は残っているからでしょうね。
この様な現在では先程の様なお客様にはなかなか受け入れ難く、通用しないと思います。
アブウーノにはそんなお客様に多く通って頂いております。それこそ遠くからわざわざ美容室を何件も通り過ぎてもなおご来店頂けていたり。
僕のカットは『日持ちするからついつい甘えちゃう』
『形が決まる』『癖が好きになった』『自分の髪で出来る事を知った』などなど…本当に美容師冥利につきる言葉を多くいただける様になったなぁと思います。
僕自身なにも特別なカットはしてません。
愚直に無理なく、どんな場合にも驕る事なく
『ベーシック』つまりは『基礎』に忠実にカットをさせて頂く事をしています。
僕自身様々な手法学び、体現し行き着いた手法が『ベーシック』基礎に忠実になる事。
小手先の"技"ではなく、刃先に忍ばせる"技"があった時代。
過去から学び現在に咀嚼する。時代が変わってもお客様が求める先に流行だけではないスタイルがあり大切にしなくてはならない技術があります。
カット技術というのは『進化』しながら『進歩』するべき『花形』技術であり続ける事を願います。
またいつの日かこの業界全体がもう一度進歩する事を切に願いお客様と向き合いたいと思います。
『カット』の可能性は過去にもまだまだあります。
これから先は失われるであろう『知識』を大切にしていきたいですね。
お客様にお役に立てるよう技術も知識も学び伝えていきたいと思います。
最後までお読み頂きありがとうございます。
これからもアブウーノはお客様にとって正しく在りたいと願います。
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AB UNO
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